"息子がサッカーをやめたい" 保護者様からのご相談①
大変ありがたいことに、ご相談をいただく機会が多いです。
単なるスクールコーチにご相談いただくということは、よっぽど悩まれているのだと思うし、勇気を出してご相談いただいたのだと思います。
出来る限り真摯に対応させていただいています。
悩んでおられる保護者様や選手はとても多いです。
そしてご相談いただく内容は似ていることもあります。
同じような悩みを抱えておられる方が少しでも気持ちが楽になればという想いから、個人名や団体名がわからない形で公開させていただきます。
ご子様が小学校4年生になる直前の2月に、お母さまからご相談いただきました。
息子がこの数か月間サッカーが楽しくないと言っていて、なんとか励ましながら続けてきましたが、4年生に進級するタイミングでチームを退団してサッカーをやめたいと言っています。親としては息子の気持ちを尊重しますが、何とか続けてほしいとは思っています。続けられる方法を模索している中でスクールのホームページを拝見して、「楽しむことを最優先する」と書かれていたことに興味を抱いて、連絡させていただきました。
息子がサッカーをやめたいと言っている理由は本人が言うにはコーチから怒られるのが嫌だということです。ミスしたら怒られるから試合には行きたくないし、練習も怖くて楽しくないと言っています。親から見ると、確かに怒られていることは多いけど、それは自分がミスしているから当然だし、そういうことを耐えて乗り越えていく力もつけてほしいと思っています。
ただ、サッカーが楽しくないと感じている状態なので、もう一度サッカーを楽しいと感じられるきっかけを作れればと考えているところでスクールのホームページを拝見しました。本人に話してみたところ、普段と違う環境でサッカー(フットサル)をすることに緊張はあるけど一回なら行ってもいいと言っています。このような状況ですが、一度スクールを体験参加させていただくことは可能でしょうか?難しければご遠慮なく断っていただいて構いませんので、ご検討をお願いします。
当スクールでは全員がサッカー(フットサル)を楽しんでいます。ご子様がやっぱりサッカーって楽しいと思ってもらえるきっかけになるよう尽力します。ぜひ体験参加していただきたいです。
そうお返事をさせていただきました。
まず、サッカーは楽しいスポーツです。子どもも大人も初心者も上級者も全ての選手がプレーを楽しめるスポーツです。そしてサッカーはミスするスポーツです。ミスをしない選手はプロでもいません。そのミスを個人やグループで成功体験に変えていくことがサッカーの面白さの一つです。
選手ができないのは教えることができていない指導者の力不足が原因です。なので、指導者が選手のミスを怒るのは本末転倒で、ミスを怒るのは自分は教える能力がないと周りに言っているようなものだと僕は考えています。
苦難を乗り越える力を身につけることは必要ですが、3年生のまだ無邪気な子どもに求めることではないと思います。ネガティブな部分を克服するよりもポジティブな部分を伸ばす方がいいと考えています。
数日後にスクールに体験参加していただきました。緊張はしているものの、きちんと挨拶ができるし、トレーニングにも積極的にチャレンジしてくれました。プレーを観てみると、しっかりと技術が身についていて、上手な選手でした。
当スクールでは体験時にはアイスブレイクの一つとして自己紹介を少し工夫しています。既存のスクール生たちのノリも良くて、殆どの体験のお子様がここで緊張がほぐれます。
そしてスクール中はポジティブな声を出すことを求めています。ネガティブな声が出てしまうこともありますが、そこは見逃さずに指摘して修正します。なのでスクールの雰囲気はとてもポジティブです。ここにもそうなるような仕掛けをしています。
スクールの後半はゲームを行います。該当クラスはチームに所属していない選手が半数ほどいるクラスで、ミスやエラーは頻繁に起こります。しかし、全てのスクール生がポジティブな声を出します。体験してくれた彼のいいプレーをみんなが誉めます。ミスをした時もポジティブな声をかけて盛り上げます。彼自身活き活きとプレーして体験が終わりました。
ゲーム中にお母さまとお話ししました。
「こんなに楽しそうにプレーしているのは本当に久しぶりに見た。本当は少し強引に連れてきたけど、連れてきて良かった。」
そう言っていただけました。
スクールの締めの挨拶が終わった後、彼はお母さんの所へ行き「楽しかったから通いたい」自らそう言ってくれました。そして即日入会となりました。サッカー(フットサル)は楽しいもの。それが伝わってとても良かったです。同時に彼はチームでもプレーを続けることを決断しました。
話はここでは終わりません。ここから彼自身が変わる試練が起こっていきます。