国際親善試合 アルゼンチン戦

 
フットサル日本代表がフットサルアルゼンチン代表と国際親善試合を行いました。

アルゼンチンは2016年フットサルワールドカップで優勝し、2021年フットサルワールドカップでは準優勝とまさに世界のトップオブトップのチームです。
日本代表は長い間選手として日本代表を牽引してきた木暮監督が指導者としても手腕を見せながら、2021年11月から代表監督となりました。世界基準の木暮監督のフットサルは個人的に楽しみだし、今回も「総じてアグレッシブなプレーを見せたい」とポゼッションを放棄せずに日本のフットサルをすることを示してくれています。


フットサル国際親善試合は同じカードを2試合することが慣例です。
1戦目は12月14日に行われて1-1で引き分けました。

1戦目ハイライト



ハイライトしかないので内容はわかりませんが
格下の日本に引き分けてしまったアルゼンチンとしては2戦目は完勝を目指してくる。
2戦目はそんな本気のアルゼンチンと試合ができる絶好のゲームとなりました。


サッカー日本代表の森保監督がこのゲームを視察した評価を発表しています。
森保一監督、フットサルに見た飛躍のヒント “刺激”を受けたスピードと強度「クオリティーを発揮できれば世界で勝てる」




2戦目のアルゼンチンはコンディションが上がり、フィジカルの強さを感じました。
プレススピードも速く、5ファールがたまるほどとてもアグレッシブなディフェンスです。
攻撃時はピヴォ当てがうまく、またピヴォもキープできるので効果的な攻撃を組み立てます。

一方日本は全く受け身にならず、強いプレスに対してもライン間を使って回避しています。
押され気味ではあるもののトランジションもとても早く、決定機はなかなか作らせません。

2戦目はフル動画を観ることができます。
観るスポーツとしてもとても面白いゲームです。
また、個人戦術やグループ戦術の連続なので、玄人が観ても面白いゲームです。

スクールで月間テーマとして取り組んでいる個人戦術やグループ戦術が随所に出てきます。
スクール生たちが観ると、「なるほど!」と感じるプレーがたくさんあるはずです。

ぜひたくさんの方に観ていただきたいです。


2戦目フル






巡り合い

 
幸いなことに他競技のプロチームや実業団の練習を見学させていただく機会があります。

トレーニングを見てメニューにどういう意図があるのかを考えてみたり、フットサルの練習に取り入れられそうなものはないか考えてみたり、指導者がどういう言葉を使っているのか、どう修正するのかを学ばせていただいています。
無知の僕から見て不思議に思うプレーに対して、なぜその選択なのかを考えてみるのはとても面白くて、また指導者がどういうコーチングをしているのかは競技は違っても参考になることばかりです。



一年ほど前にその競技のトップリーグ(全国リーグ)に所属しているある実業団のトレーニングを見学させていただいただいた時の話です。

正直に言います。
僕から見て、その実業団の監督さんの言葉は殆どがパワハラです。
とても指導と言えるものではありません。


その監督さんはミスを指摘して
「お前のせいだ」
「なんでできないんだ」
「何回言ったらわかるんだ」
「それだからお前はダメなんだ」

ダメ出しばかりで
どういうプレーを求めているのか
どう改善すればいいのか
具体的な指導は皆無です。



監督さんが不満やストレスをぶつけているだけのように見えます。
選手たちは意見をすることもできない雰囲気です。

さらに練習中にも関わらず監督さんは電話をしながら出て行ったり、スマホを触っていることが頻繁にあります。
そして帰ってくるなり怒声が飛びます。



聞いているだけでとても気分が悪くなります。

僕はその競技のことを何も知りません。
どういう戦術があるのかも無知です。
それでも技術的なミスは僕でもわかります。
ミスを指摘することはその競技のことを知らない僕でもできます。

それでも「今のいいプレーだった」というのは感じるし、「なるほど!」と選手の意図を感じるプレーがあったりもします。
フットサルの戦術と似ているものもあるので、感じることができる部分もあるのかもしれません。



ある選手がミスをしてボールを失いました。

ミスにはいくつか種類があります。
選択肢を持っていなかったのか(認知)
選択を誤ったのか(判断)
技術的なミスなのか(実行)


その監督さんが指摘するのは個人の技術的なミスのところばかりです。
しかし真相は、いくつかの選択肢を持ちながら、味方との共通認識に誤差があり、判断が遅れてミスにつながったのかもしれません。
もしかするとボールホルダーではなく、味方のサポートに修正点があるのかもしれません。

それでもその監督さんが指摘するのはボールを失った選手に対して「お前のミスだ」と指摘しています。
どうすれば改善できるのかのコーチングもありません。
具体的なコーチングがないので、同じ現象が繰り返し起こります。
監督さんからは「何回言ったらわかるんだ」という言葉が飛びます。

これが繰り返されます。
個人のミスを指摘しているだけなので個人の成長もないし、グループとしての成長も期待できないように見えます。

選手ができないのは指導者が教えることができていないからという考え方が皆無なんだと思います。



トップリーグ所属のチームだけあって、選手はそれに値する選手が集まっているのだと思います。
中でも無知の僕から見てもとても上手かったり、ずば抜けて身体能力が高いと感じる選手がいます。
しかし、選手たちに笑顔はなく、その競技を楽しんでいると感じる要素は皆無です。

試合は観戦したことがありませんが、攻撃も守備も個人の能力頼みであることを想像できます。
それではトップリーグで戦うのは厳しいはずです。



上記は一つの例ですが、"指導者"の大切さを痛感します。
指導者次第と言っても過言ではありません。

上記は大人のチームなので、選手がチームや指導者を選ぶこともできなくはないはずです。
しかし育成年代の選手はチームの指導者を選ぶ機会は皆無に近いと言えます。
色々な指導者と関わる機会を持つべきです。

育成年代ではいい指導者と巡り合えるかが最も重要なポイントだと言えると思います。




全日本女子フットサル選手権大会 香川県大会

 
rifer(リズ・フェール)という社会人女子フットサルチームの練習を5月から週1回見させていただいています。
当スクールがスポンサーをしているチームの一つです。


能力の高い選手が数名おり、ポジション的にもバランスがいいチームです。
当初、rizferが所属しているリーグでの試合映像を観た時、フットサルの知識が乏しいと感じました。
フットサルの要素がとても少なく、ただのミニサッカーといえる状態でした。

それから約3ヵ月間、個人戦術と2人組のグループプレーのトレーニングを重ねてきました。
もともと選手の能力が高かったことや、理解力の高い選手がいることで、どんどんレベルが上がっていきました。

そして、練習では伝えきることができない試合運びやプロセスを試合の現場で伝えたいと思い、今大会の監督をさせていただくことにしました。



大会は5チームでの開催。
当日抽選で準決勝からのスタートとなりました。

参加選手はFP8名でGK不在。
FPの1名にGKをしてもらい、FP7名で臨みました。

予めどういう戦い方をするか、どういう交代戦術をするかを共有し
普段起こらないミスやアクシデントが起こることは想定内であること
相手は関係なく自分たちに優勝する資格があるのか試される大会であることを確認しました。

そして、勝ち上がるためには《熱く》《ポジティブに》戦いぬくことを共有しました。



準決勝と決勝の2試合を戦いましたが、2試合ともにとても難しいゲームでした。
どちらの試合にも共通して言えるのはゴール前へのロングボールを多用してくるということ。

こちらの攻撃の時間が長くなるので、ボールの失い方に気を付けること
必然的にフィニッシュの回数が増えるので、決めきること
そしてセットプレーがポイントでした。


トレーニングしてきたワンツー、ジャグナウ、ピヴォ当て、エルなど、選手たちは状況を作ってチャレンジしてくれました。
随所にマークを外す個人戦術やグループ戦術が発揮されていました。
そのうえで個のストロングを発揮する。
短期間で本当に上手くなりました。



試合中に3人が怪我をするなどアクシデントがいくつかありました。
特に決勝は予定していた交代戦術が最初からできず、個々のコンディションを見ながらのマネジメントとなりました。

イレギュラーなことがたくさん起こることは想定していて、選手たちもしっかり対応してくれたので、冷静にマネジメントすることができました。
ミニサッカーではないフットサルの戦い方を現在の力で最大限表現できたと思います。



2試合で失点は3点。
ポジショニングの悪さによるボールロストからのカウンター
個の能力への対応不足
フィニッシュの精度の低さからのカウンター

得点は6点
キックインからのデザインプレー
定位置攻撃からのピヴォ当て
エル
ピヴォ当て(3枚目)
ピヴォ当て(3枚目)
キックインからのデザインプレー


全ての失点と得点に理由と改善点があります。
それを試合中に選手と共有しながら、試合を進めながら成長することができたと感じています。




四国大会に出場する権利を獲得することができました。
あと少しのパスのズレ、サポートのタイミングのズレ、フィニッシュの精度はそれまでの課題です。
また、グループプレーの選択肢も増やします。
四国大会では今大会に出場した選手たちの想いを裏切らないよう、代表としての自覚を持って臨みます。



香川県にも女子選手がたくさんいることを目の当たりにして嬉しかったです。
スクール生OBや教え子、友人のお嬢様などにもたくさん会うことができました。

香川県の女子フットサルは伸びしろだらけです。
これからさらに盛り上がっていくことを期待しています。



変化

 
当スクールの通常クラスはチーム所属選手も未所属の選手も在籍しています。

今回はチーム未所属のある6年生の話です。

彼は3年生になった4月に入会してくれました。フットサルやサッカーは未経験ですが、運動能力が高くスピードに魅力がある選手でした。

しかし練習への取り組み方や友達との接し方にハッキリ言って問題がある選手でした。何度も注意しましたが、改善するきっかけを与えられないままでした。そういう選手がいるとゲームデイではなかなか優勝はできません。そして優勝できなかったことをチームメイトのせいにしてイライラして帰る。悪循環を抜け出せないまま、良さは残したままどのように導けばいいのか悩んでいました。

彼が初めて優勝を経験したのは4年生の9月で、入会して約一年半後でした。チーム未所属の選手でも入会数か月後には優勝を経験するので、これは異例中の異例です。しかしこの優勝も何かが好転して掴んだものではありませんでした。


保護者様に状況を説明して、一度本人と向き合って話すことをお伝えして、本人と向き合って話す機会を作りました。フットボールは楽しむことが何より大切であること。フットサルは一人ではできないこと。楽しむためにはポジティブな雰囲気が必要であること。気づくことがキーワードであること。そんな話をしたと思います。



当スクールではいくつかの考えがあって、トレーニングメニューで使った備品は選手たちに片づけてもらいます。先日の練習で片づけが終わり他の選手が給水をしている中、6年生になった彼が備品の色を揃えてキレイに片づけている姿がありました。

思わず「○○変わったな!」と声をかけました。
本人は「何が?」ととぼけてきたので
以前は片付けは他の選手に任せて、自分は真っ先に給水したり友達と遊んでいたけど、今は自ら気づいて、他のスクール生は関係なく、最後まで丁寧に片づけてができている。それはとても素晴らしいことだと伝えました。

今はゲーム中も常にポジティブな声掛けをしています。取り組み方が変わったことで技術面もかなり上達しています。また、個人戦術やグループ戦術もしっかり理解していて、6年生の今もしチームに所属しても即戦力として活躍できる選手です。なので、ゲームデイでは高い確率でチームを優勝に導いています。



当スクールでは取り組み方の部分をスクール生たちに伝えています。挨拶や道具の扱い方にも言及しています。また、ポジティブな声掛けは常に求めています。これらはジュニア世代で身につけておくべきことです。当スクールのストロングポイントだと自負しています。取り組み方が変われば、それに比例して成長度は変わります。





OBからの相談

スクールOBの選手から連絡をもらいました。


「伸び悩んでいると言われて、具体的に自分に何が足らないのかよくわかりません。次の大会もあるので、どうすればいいかアドバイスが欲しいです。」

 
彼は4年生になる少し前にスクールに体験参加しました。その時はサッカーが嫌いになってしまっている状態でした。もうサッカーはやめたいという状態でスクールに体験参加して、フットボールの楽しさを改めて感じてくれて即入会しました。保護者様のご尽力によってここでご縁をいただけたことをとても感謝しています。

彼はもともと技術的に卓越した選手でした。それ故に、当初は周りの選手への言葉がネガティブなことがありました。当スクールではポジティブな雰囲気であることがなぜ大切なのかを伝えており、選手たちにもポジティブな声掛けを求めています。ネガティブな言動は見逃さずに指摘するので、彼の言動を指摘することが多かった記憶があります。

しかし彼がポジティブな声掛けをした時に、周りの反応が変わり、彼への信頼度が変わる。それを実感した時から彼は変わり始めました。そうなると周りの選手のプレーも良くなり、自分もプレーしやすくなる。そして達成感を感じるポイントが変わってフットボールの面白さを見出すことができました。スクールにはチームに所属していない選手も複数在籍しており、彼らと一緒にプレーして彼らがみるみる上達することを目の当たりにできたことがプラスになったのではないかと思っています。



技術的には当スクールの月間テーマの一つである「レガッテ」をトレーニングしてから激変した選手の一人です。ボールの持ち方が変わったことでプレーの選択肢が増えて、元々持っていた技術の高さをより効果的に発揮できるようになりました。正直なところ、指導者としてこのトレーニングが有効であることを実感させてくれた選手の一人でもあります。

サッカーが好きになった彼の吸収力は凄まじかったです。6年生になった時には県トレセンの中心選手として活躍するまでになりました。そして現在は中学の部活の道を選択して、チームの中心選手として頑張っています。



OBからの連絡はとても嬉しいです。それと共に悩みに対して真剣に向き合いたいと思いました。まず彼のプレーを観る機会がなさそうなので、過去の試合映像をもらいました。

映像を観て、率直にとても厳しい環境だと感じました。チームのゲームモデルも感じられず、攻撃面も守備面もリアクションなので、常に主導権が相手にありました。ピッチ上もベンチからも声がないので、雰囲気も良くない。個々の能力は相手チームとほぼ差はないけど、10点ほど失点していました。
これで「伸び悩んでいる」という一言で片づけられるのはあまりに理不尽だと感じました。



ゴールは仲間とサッカーを楽しむことだと考えます。結果を求めては悪循環になってしまいがちだし、結果は自然についてきます。仲間とサッカーを楽しむために取り組むべきことは2つあると伝えました。

①ポジティブな雰囲気を作ること
②ストロングポイントを発揮すること

ポジティブな言動がポジティブな雰囲気を作り、チームが変わっていくことを彼は体験しています。ミスやエラーはいくらでも起こるし、周りからはネガティブな言動があるかもしれない。雰囲気を変えるのは簡単なことではないし時間がかかることです。それでも自分はやり続けることです。少しでも雰囲気が変わった時、チームは大きく変化すると思います。

ストロングポイントは2点あります。まず彼自身のストロングポイントを発揮することです。苦手なプレーに注力して、得意なプレーを発揮できないのはもったいないです。
もう1点はチームのストロングポイントです。映像で見る限りではチームのストロングポイントがありました。しかしそれを発揮できない状況を自分たちで作り続けていました。


彼にはもう少し具体的に説明しました。彼なりに腹落ちしたようです。
近々リーグなどを観戦に行きたいと思います。