巡り合い

 
幸いなことに他競技のプロチームや実業団の練習を見学させていただく機会があります。

トレーニングを見てメニューにどういう意図があるのかを考えてみたり、フットサルの練習に取り入れられそうなものはないか考えてみたり、指導者がどういう言葉を使っているのか、どう修正するのかを学ばせていただいています。
無知の僕から見て不思議に思うプレーに対して、なぜその選択なのかを考えてみるのはとても面白くて、また指導者がどういうコーチングをしているのかは競技は違っても参考になることばかりです。



一年ほど前にその競技のトップリーグ(全国リーグ)に所属しているある実業団のトレーニングを見学させていただいただいた時の話です。

正直に言います。
僕から見て、その実業団の監督さんの言葉は殆どがパワハラです。
とても指導と言えるものではありません。


その監督さんはミスを指摘して
「お前のせいだ」
「なんでできないんだ」
「何回言ったらわかるんだ」
「それだからお前はダメなんだ」

ダメ出しばかりで
どういうプレーを求めているのか
どう改善すればいいのか
具体的な指導は皆無です。



監督さんが不満やストレスをぶつけているだけのように見えます。
選手たちは意見をすることもできない雰囲気です。

さらに練習中にも関わらず監督さんは電話をしながら出て行ったり、スマホを触っていることが頻繁にあります。
そして帰ってくるなり怒声が飛びます。



聞いているだけでとても気分が悪くなります。

僕はその競技のことを何も知りません。
どういう戦術があるのかも無知です。
それでも技術的なミスは僕でもわかります。
ミスを指摘することはその競技のことを知らない僕でもできます。

それでも「今のいいプレーだった」というのは感じるし、「なるほど!」と選手の意図を感じるプレーがあったりもします。
フットサルの戦術と似ているものもあるので、感じることができる部分もあるのかもしれません。



ある選手がミスをしてボールを失いました。

ミスにはいくつか種類があります。
選択肢を持っていなかったのか(認知)
選択を誤ったのか(判断)
技術的なミスなのか(実行)


その監督さんが指摘するのは個人の技術的なミスのところばかりです。
しかし真相は、いくつかの選択肢を持ちながら、味方との共通認識に誤差があり、判断が遅れてミスにつながったのかもしれません。
もしかするとボールホルダーではなく、味方のサポートに修正点があるのかもしれません。

それでもその監督さんが指摘するのはボールを失った選手に対して「お前のミスだ」と指摘しています。
どうすれば改善できるのかのコーチングもありません。
具体的なコーチングがないので、同じ現象が繰り返し起こります。
監督さんからは「何回言ったらわかるんだ」という言葉が飛びます。

これが繰り返されます。
個人のミスを指摘しているだけなので個人の成長もないし、グループとしての成長も期待できないように見えます。

選手ができないのは指導者が教えることができていないからという考え方が皆無なんだと思います。



トップリーグ所属のチームだけあって、選手はそれに値する選手が集まっているのだと思います。
中でも無知の僕から見てもとても上手かったり、ずば抜けて身体能力が高いと感じる選手がいます。
しかし、選手たちに笑顔はなく、その競技を楽しんでいると感じる要素は皆無です。

試合は観戦したことがありませんが、攻撃も守備も個人の能力頼みであることを想像できます。
それではトップリーグで戦うのは厳しいはずです。



上記は一つの例ですが、"指導者"の大切さを痛感します。
指導者次第と言っても過言ではありません。

上記は大人のチームなので、選手がチームや指導者を選ぶこともできなくはないはずです。
しかし育成年代の選手はチームの指導者を選ぶ機会は皆無に近いと言えます。
色々な指導者と関わる機会を持つべきです。

育成年代ではいい指導者と巡り合えるかが最も重要なポイントだと言えると思います。