補欠

 
大変ありがたいことに関わらせていただいている選手や保護者様だけでなく、HPやSNSを通じてご相談をいただくことがあります。ご相談いただくことは「補欠について」と「怪我のリカバリー」の内容が圧倒的に多いです。その中でも補欠については毎回心底悲しい気持ちになります。



昨年は補欠について大きなご相談を2件いただきました。個人情報がわかる部分は省いて、事実を書きます。

小4の秋からサッカーを始めて、現在6年生でジュニアサッカーはあと半年になります。チームでは補欠で、試合に行っても試合に出してもらえず、何もせずに帰ってくる状態で、親として何かしてあげたくて連絡しました。
技術はもちろんですが、まずは楽しむ心を育ててあげたいです。控え目な性格ですが、自信を持たせてあげたいです。(途中省略)
試合に出場できるようになるために、技術を身につけるためのプライベートレッスンをお願いしたいです。

 

この事実は心底悲しいことです。ご両親のご心労を想像すると胸が痛みます。お子様の気持ちを想像すると胸が張り裂けそうです。

僕からは「そういう状況はあってはならないことであること」「フットボールは楽しいものであること」「これから逆転がいくらでも起こること」「微力ながらフットボールの楽しさを改めて感じるお手伝いをさせていただけること」などをお伝えさせていただきました。

両親ともにサッカーに関しては無知で、今回思い切ってご相談することで、今までなかった価値に気づきました。気が付くことが遅かったことを後悔してもしきれません。もう少し早く相談させていただいていれば良かったと思います。

 

そうご回答をいただきました。

目の前の試合で勝利を目指すのは当然です。それはチーム全員の力で勝利を目指すべきです。ジュニア世代の指導者が伝えるべきなのは、そういう部分がまず大切だと考えています。なので、僕は全ての選手に試合の半分以上の時間の出場機会を与えるべきだと考えています。主役は選手だからです。選手は試合を楽しみにしているし、試合でこそ成長するからです。そして全ての試合が通過点だからです。

 




もう一つのご相談です。昨年度の全日本少年サッカー選手権後のご相談です。

全日は一回戦で敗退しました。他の選手たちと同じように頑張ってきましたが、6年生では息子だけ試合に出場させてもらえませんでした。スクールでは誉めていただいて自信を取り戻してきていましたが、息子はとても辛かった様子でもうサッカーは辞める、中学ではサッカーは続けないと言っています。

 

まずこの選手はある局面でとても上手な選手です。視野も広く賢い。技術もあってパスの質も高い。とても優しいという点がプレー面でマイナスだったとしても、それ以上の長所がある素晴らしい選手です。そこを見出してもらえず自信を持てていないことは不運だと思います。

この選手には手紙を書きました。僕自身が不毛なサッカー人生だったので辛い気持ちがよくわかること。フットボールは楽しむことが何より大切で、スクールではその楽しさを伝えていること。僕の価値観。その選手の好きな所とその選手への想いを書きました。

その後、チームをやめずに最後まで続けました。現在は部活でサッカーを続けています。



全日は全てのジュニアチームが目標としている大会だと思います。全日だから勝ちたい気持ちが強くなるのは理解できます。5年生を出すことも理解できます。しかし全ての6年生が想いを持って臨む大会でもあります。チャンスすら与えないのは間違っていると思います。2チーム出せば解決します。主役は選手です。全日も通過点でしかありません。



サッカーが大好きな全てのジュニア世代の選手たちがサッカーを楽しめることを切に願います。


written by gonda