U-11フットサルリーグ

 
U-11フットサルリーグが開催されました。ジュニア年代からフットサルに関わることは非常に素晴らしいことです。僕も指導させていただいているチームで出場させていただきました。
自分のチームもそうですが、サッカーの試合も多い中で、普段の練習を割いてフットサルの練習にあてるのは難しいです。また普段の練習以外に十分なフットサルの練習時間と場所を確保するのも難しいです。できるとすればルールの確認くらいでしょう。



そのうえでこのリーグで感じたことが2点あります。うち1点はゴールクリアランスについてです。

以前のU-12フットサル選手権(バーモントカップ)では全国大会でもゴールクリアランスを相手ゴール前に投げ込み、体格に恵まれたフィジカルの強い選手が触ってゴールを奪うというプレーが少なからずありました。トーナメントが進むにつれて、正確なボールを投げることができるゴレイロがいてフィジカルの強いピヴォがいて、ボールがゴール前からゴール前へ飛び、ゴール前で肉弾戦を行うというゲームが散見されました。ポゼッションをして自陣でボールを失うリスクもなく、勝利するためには合理的な方法ではあります。しかしフットサル本来の競技性とはかけ離れ、育成の観点からもかけ離れた内容でした。



これを改正するために、2010年3月29日に15歳以下のフットサル競技規則に以下の変更がありました。

(財)日本サッカー協会の決定
日本サッカー協会などが行う15歳以下のフットサル競技会においては、次の規則を適用する。
ゴールキーパーが手で投げた後、または足でけった後、ボールが競技者に触れるかプレーされる、あるいはピッチ面に触れる前にハーフウェーラインを越えたときは、相手側チームに間接フリーキックを与える。間接フリーキックは、ハーフウェーライン上の任意の地点から行われる。

 

このルール改正によって、育成年代のフットサルには変化が生まれてきています。攻撃はいかに相手陣地にボールを運ぶかを考え、守備はいかに相手陣地でボールを奪うかを考えるからです。


しかし香川県の育成年代のフットサルはまだ歴史が浅いです。今回のリーグに出場しているチームの多くがクリアランスをハーフライン上に立たせた選手に投げていました。その選手に競らせてサイドに流し、サイドに走りこんだ選手が拾う。この点は非常に残念に思いました。
一方でクリアランスを自陣深くでポゼッションして相手を自陣に引き寄せ、相手陣地に作ったスペースを2人組もしくは3人組の関係で突破にチャレンジするチームもありました。リスク回避ではなく、リスク管理しながらボールを運ぼうとするチームもありました。しかしそこは個の能力の差や練習量不足の問題があったように思います。



フットサルは例えばトランジションの質やジョガーダ(サインプレー)で、個の能力の差があるチームに勝つことができることも面白味の一つです。フットサルは常にゴール前の攻防でサッカーの要素が凝縮されています。さらに選手一人ひとりがボールを触る機会が多く、プレーに関わる機会も多いです。フットサルは必ずサッカーに活かされます。香川県ではU-11リーグ以外にバーモントカップ、ちゅうぎんカップなどが開催されています。ジュニア世代がフットサルに関わる機会をもっともっと作ってほしいと思います。



僕のチームは全日程を終了して勝点1で最下位でした。後期リーグも計画していただいていると伺っているので、後期では「あれ、あのチーム変わったな」と思っていただけるように準備したいと思います。



試合でボールに触る回数

 
試合でボールに触る回数について、先日の記事「なぜフットサルはサッカーの6倍もボールに関わる機会が多いのか」でご紹介しました。今回はそれとは違い、チーム内での話です。


チームには上手な選手、平均レベルの選手、まだ経験の浅い選手がいると思います。相手チームも同様です。サッカーコーチのコーチである倉本和昌さんの情報によると、ドイツの7人制ジュニアサッカーでは上手な4名の選手のボールタッチ回数が全体の80%を占めていて、残り10名の選手のボールタッチ回数が全体の20%だということです。つまり10名の選手は殆どボールに触っていないということになります。それは上手な選手4名と他の10名の選手のスキルの差が開くことはあっても縮まることはないという見解をされています。
これは興味深いとともに納得できるデータだと思います。

他にも、自信がない選手たちは上手な選手に頼りがちです。目的がゴールではなく、上手な選手へのパスを選ぶ場面をよく見かけます。これは「認知」も「判断」もないプレーなので、いいプレーではないことが多いように感じています。



倉本さんはプレーに責任を持たせることが必要だと話されています。僕も全く同感です。実際にトレーニングでは設定を様々に変えたフニーニョをよく実施しています。全ての選手が得点にも失点にも直接関わるので、成功体験も経験しやすいです。また、短時間に設定することで集中力やトランジションの早さなども身に付きます。

倉本さんは選手自身の伸びを評価すること、成長感を与えることが重要だと話されています。まさにその通りで、目の前の勝敗は全く関係なく、選手個々の将来を見据えた成長が重要で、ほんの小さな成功体験でも見逃さず誉めることが指導者として必要なことだと思います。成長感を与えるには色々テクニックもあると思います。



大会にエントリーする際に、もし2チームエントリーできるなら、下の学年からの助っ人を依頼してでも2チームにするべきだと思います。その場合のメンバー構成はレベルで分けることが望ましいと考えます。上記の理由もあるし、全ての選手が試合を経験することができ、力に適したグループで試合経験を積めるからです。試合でボールに触る回数も必然的に多くなり、チーム全体のレベルが上がることを期待できるからです。


written by gonda



知識

 
選手たちは上手くなることに貪欲です。

簡単なところで言うと、当スクールではU-6で年間20個程度、U-9で年間40個程度、U-12で年間50個程度のテクニックを覚えます。一つ一つのテクニックのポイントや使う状況、成功率を上げる予備動作などもトレーニングします。毎回新しいテクニックのデモンストレーションを見る時は、選手たちのワクワク感がビンビン伝わってきます。



例えば5月に実施した浮き球のコントロールではチームに所属している選手たちの多くは浮き球を何とか処理します。しかし処理の仕方を知っている選手はとても少ないです。

まずボールの落下地点を見極めることを伝えます。これは経験値による部分も多いにあると思いますが、一つ目の大きな関門です。落下地点を見極められると、準備段階のポジショニングも変わってきます。

浮き球を処理するにはクッションコントロールとエッジコントロールの2つの方法があります。それぞれのポイントを伝え、さらにボールが低い時に処理することを伝えます。この時点で知識が整理され、チーム所属の有無に関わらず、殆どの選手がほぼ確実に処理できるようになります。

胸トラップとももトラップも正しいやり方でできる選手は多くはないです。ただ、ここも知識の問題で、腕の使い方やももの角度などを伝えると、大きく改善できます。

ヘディングについては現在色々と言われていますが、ルール改正がない限りは試合中にヘディングをする機会は減らないと思います。また、どちらにしろ小学生のうちに正しいヘディングの仕方を理解しておくことは必要だと思います。確かにヘディングの仕方を知らない選手が多いので、ジュニアサッカーリーグなどでヘディングを見て危ないと感じることもいくつかあります。



6月はレガッテ(突破のドリブル)をトレーニングしました。主にボールの持ち方と相手との角度の見極めがポイントになります。これはおそらく香川県では教えてもらっている選手は非常に少ないと思います。なのでレガッテをトレーニングすると殆どの選手が変わるし、数名の選手が激変します。当然技術的な改善もありますが、どのようなボールの持ち方をするのか、なぜ突破できるのかを理解するだけで選手は変わります。

過去にこのトレーニングをしてから、激変を超えてスペシャルになった選手が3名います。1名は6年生の時にナショナルトレセンまでいき、現在はジュニアユースのクラブチームで活躍しています。1名はサッカーの楽しさを見失っていた状態から県トレセンの主力として活躍して、現在は中学校の部活で活躍しています。1名は現在エリートクラスに在籍している選手で、彼のドリブルにはドンドン磨きがかかってきていて、逆サイドの状況も見ながら目の前の1対1で突破できる選手です。このレガッテのトレーニングが彼らを変えたと確信しています。



先日、ある少年団のチームクリニックでアーリークロスを練習しました。なぜアーリークロスが有効なのか、どこにどういうクロスを入れるのか、ニアとフォアにどう入るのかという練習でした。選手たちはアーリークロスという言葉を知らず、最初はクロスの質も低く、ゴール前への入り方も悪く、なかなかゴールを奪えない状態でした。しかし、新しいことを知り、水を得た魚のように生き生きと失敗を繰り返していました。当然工夫が生まれ、たまに成功(ゴール)体験をすることで、さらに楽しさが増すいいトレーニングになりました。





ジュニア世代の指導者として、新しい知識をドンドン伝えるということは重要だと感じています。なので日々勉強が欠かせません。


written by gonda




FIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021

 
9月に開幕するFIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021の組合せが決まりました。

JFAニュース.JP FIFAフットサルワールドカップ リトアニア2021 組み合わせ決定



日本はアンゴラ・スペイン・パラグアイと同組。フットサルFIFAランキングではスペインは1位、パラグアイは10位内、アンゴラは不明。厳しいグループに入ったように思います。まずは初戦のアンゴラ戦に点差をつけて勝って勢いにのり、予選グループを突破して、日本のフットサルを盛り上げるためにも、日本代表初のベスト8入りを期待しています。



ワールドカップのTV放送も期待しています。J SPORTSでフットサルワールドカップ2012のアーカイブが放送予定です。特にポルトガル戦はとても面白いです。ご覧になれる方はぜひご覧ください。

⇒ J SPORTS





補欠

 
大変ありがたいことに関わらせていただいている選手や保護者様だけでなく、HPやSNSを通じてご相談をいただくことがあります。ご相談いただくことは「補欠について」と「怪我のリカバリー」の内容が圧倒的に多いです。その中でも補欠については毎回心底悲しい気持ちになります。



昨年は補欠について大きなご相談を2件いただきました。個人情報がわかる部分は省いて、事実を書きます。

小4の秋からサッカーを始めて、現在6年生でジュニアサッカーはあと半年になります。チームでは補欠で、試合に行っても試合に出してもらえず、何もせずに帰ってくる状態で、親として何かしてあげたくて連絡しました。
技術はもちろんですが、まずは楽しむ心を育ててあげたいです。控え目な性格ですが、自信を持たせてあげたいです。(途中省略)
試合に出場できるようになるために、技術を身につけるためのプライベートレッスンをお願いしたいです。

 

この事実は心底悲しいことです。ご両親のご心労を想像すると胸が痛みます。お子様の気持ちを想像すると胸が張り裂けそうです。

僕からは「そういう状況はあってはならないことであること」「フットボールは楽しいものであること」「これから逆転がいくらでも起こること」「微力ながらフットボールの楽しさを改めて感じるお手伝いをさせていただけること」などをお伝えさせていただきました。

両親ともにサッカーに関しては無知で、今回思い切ってご相談することで、今までなかった価値に気づきました。気が付くことが遅かったことを後悔してもしきれません。もう少し早く相談させていただいていれば良かったと思います。

 

そうご回答をいただきました。

目の前の試合で勝利を目指すのは当然です。それはチーム全員の力で勝利を目指すべきです。ジュニア世代の指導者が伝えるべきなのは、そういう部分がまず大切だと考えています。なので、僕は全ての選手に試合の半分以上の時間の出場機会を与えるべきだと考えています。主役は選手だからです。選手は試合を楽しみにしているし、試合でこそ成長するからです。そして全ての試合が通過点だからです。

 




もう一つのご相談です。昨年度の全日本少年サッカー選手権後のご相談です。

全日は一回戦で敗退しました。他の選手たちと同じように頑張ってきましたが、6年生では息子だけ試合に出場させてもらえませんでした。スクールでは誉めていただいて自信を取り戻してきていましたが、息子はとても辛かった様子でもうサッカーは辞める、中学ではサッカーは続けないと言っています。

 

まずこの選手はある局面でとても上手な選手です。視野も広く賢い。技術もあってパスの質も高い。とても優しいという点がプレー面でマイナスだったとしても、それ以上の長所がある素晴らしい選手です。そこを見出してもらえず自信を持てていないことは不運だと思います。

この選手には手紙を書きました。僕自身が不毛なサッカー人生だったので辛い気持ちがよくわかること。フットボールは楽しむことが何より大切で、スクールではその楽しさを伝えていること。僕の価値観。その選手の好きな所とその選手への想いを書きました。

その後、チームをやめずに最後まで続けました。現在は部活でサッカーを続けています。



全日は全てのジュニアチームが目標としている大会だと思います。全日だから勝ちたい気持ちが強くなるのは理解できます。5年生を出すことも理解できます。しかし全ての6年生が想いを持って臨む大会でもあります。チャンスすら与えないのは間違っていると思います。2チーム出せば解決します。主役は選手です。全日も通過点でしかありません。



サッカーが大好きな全てのジュニア世代の選手たちがサッカーを楽しめることを切に願います。


written by gonda